トランクの変形ギミックがすごい! レゴ ファンタスティック・ビースト ニュートの魔法動物アドベンチャー 75952をレビュー
レゴ ファンタスティック・ビースト ニュートの魔法動物アドベンチャー 75952はニュートやティナなどのミニフィギュアや、サンダーバードやオカミーなどの魔法動物が登場し、変形ギミックを備えたトランクを組み立てることができるモデルだ。組み立て式の魔法動物は迫力があるし、小枝やカモノハシ風の魔法生物など、かわいいフィグもいっぱい。そしてニュートのトランクには、なんと魔法動物の飼育小屋に変形する驚きのギミックも! ここからは見た目もサイズも個性豊かな魔法動物たちやニュートの変形トランクをレビューしていこう。なお、レビューは映画のネタバレを含むため、未視聴の方は注意が必要だ。
レゴ(LEGO) ファンタスティック・ビースト ニュートの魔法動物アドベンチャー 75952
目次
- ニフラーがかわいい! サンダーバードやオカミーなどの魔法動物も
- トランクが飼育小屋に! 本格的な変形ギミックを搭載
- 巣がフサフサ襟に!? サンダーバードの尻尾はフニュフニュ
- レゴ ファンタスティック・ビースト ニュートの魔法動物アドベンチャーの総評
ニフラーがかわいい! サンダーバードやオカミーなどの魔法動物も
ミニフィギュアは4体が付属。ニュート、ティナ、ジェイコブ、クイニーの4人だ。その他に魔法生物であるサンダーバード、オカミー、エルンペント、ニフラー、ボウトラックルも登場する。
ニュート・スキャマンダーのミニフィギュアと魔法生物ボウトラックル。魔法動物サンダーバードの背中に乗っている人物がニュートだ。ニュートのフルネームはニュートン・アルテミス・フィド・スキャマンダー。誕生日は1897年2月24日(水曜日)で、日本の政治家である蜷川虎三と同じ日に生まれる。ちなみにハリー・ポッター誕生時には94歳だ。出身国はイングランド。ホグワーツ魔法学校のOBであり、学生時はハッフルパフに所属していた。卒業もしくは退学後、魔法省魔法生物規制管理部屋敷しもべ妖精転勤室や動物課の局員を歴任。その後は魔法動物学者として活躍し、著書にオブスキュラス出版社『幻の動物とその生息地』がある。
劇中ではニュート降臨から約1世紀後に生まれた英俳優のエディ・レッドメインが演じている。ニュートはファンタビシリーズだけでなく、映画ハリポタシリーズにおいても『秘密の部屋』や『アズカバンの囚人』などに登場。ファンタビを見た後に映画ハリポタを見て彼の登場シーンを見直すのも面白いだろう。
ニュートのミニフィグにおいては前に飛び出した髪の毛やオレンジ色のベスト、ブラウンの長ズボンといった特徴を再現。ニュートは紺色のコートを羽織っていることも多いが、このモデルにおいてはコートを着ていないバージョンだ。今回のニュートは魔法動物と触れ合うことが主眼に置かれているため、コートを脱いで軽量化し作業をしやすくしているのだろう。ベストには複数のボタンや懐中時計、胸ポケット、シワなどがプリント、胸元には影のついたシャツも見えており描写が細かい。なお、コートを着たバージョンはミニフィギュアシリーズ ハリポタ&ファンタビ 71022に登場。
ミニフィグの顔には髪色に合わせた眉毛、複数のシワが入っている。劇中のニュートも落ち着いた顔をしているものの、今回の顔は29歳のそれにしては落ち着きが深まった印象。ややベテラン感が漂い過ぎている嫌いはあるかもしれない。ただ29歳に10歳プラスして39歳という設定にしたり、5時間のウルトラマラソンや10時間のトライアスロンを完走した後の疲れたニュートということにすれば気にならなくなるだろう。
ニュートには穏やかに微笑んでいるA面の表情の他に、歯を見せて驚いているようなB面の表情が用意されている。ヘッドパーツを180度回転するともうひとつの顔にチェンジすることができるのだ。ニュートはいつも柔和な表情をしているが、彼だって驚いたり困惑したりすることもあるのだろう。彼がこれほど表情を変えるとすれば、それはグリンデルバルドと対峙した時かもしれないし、リタ・レストレンジとの関係によるものかもしれない。
彼はこのモデルに登場する巨大なトランクの所有者でもある。そのトランクに魔法動物を入れて移動するのだ。トランクは普段は片手で持てるような普通サイズであり、そのサイズはとても魔法動物が入れるような代物には見えない。もちろんボウトラックルやニフラーといった小型の魔法生物ならば可能かもしれないが、サンダーバードやオカミーのような大きな魔法動物は物理的に不可能だ。
しかしニュートのトランクには大小問わず全ての魔法動物を収納することが出来る。そう、彼は魔法使いだ。不可能を可能にすることができる男だ。トランクという名の飼育小屋をそのサイズを変えることなく中のスペースだけ拡大させるという検知不可能拡大呪文および無数の拡大呪文を駆使、大型の魔法動物でも収容できるスペースを確保している。
見た目のサイズを変えず中だけ大きくする検知不可能拡大呪文・・・レゴにおいてこの呪文を忠実に実行してしまうといろいろと問題が出てくるだろう。なぜならミニフィグのサイズに合わせたトランクによって小屋を再現すれば、中身がとても小さくなってしまうからだ。中身をなにもかも小さく、それも精巧に仕上げるとなれば、まさに職人の技が必要になる。またそのような小ささでは中身を見てもそれほど楽しめないかもしれない。しかし・・・レゴは大胆な発想によってこの問題を解決した。なんと、トランクを巨大化させたのだ。
トランクを建物サイズまで大きくすれば、ミニフィギュアたちが小屋の中に入ったときのサイズ感になる。そう、斬新な発想により、ミニフィギュアを小さく、もしくはトランクの中を小さく再現するのではなく、トランク自体を大きくしたわけだ。また劇中にはなかった変形ギミックを採用することにより、トランクの中の小屋を広々と表現。超絶変形ギミックによって展開した巨大トランクは飼育小屋そのものだ。そこにはトランクの中に入ったニュートたちが魔法動物たちを世話している光景が広がっている。
ボウトラックルはホグワーツ魔法魔術学校に生息。ミニフィグのニュートが手に持っている緑色のY型の物体がそれだ。おそらく彼の名前はピケットだろう。ニュートとボウトラックルはニュートがホグワーツ在籍時から親しくしており、ファンタビの劇中にも登場。ボウトラックルは小枝がモチーフになっており、頭から生える2枚の葉っぱで髪の毛、数本の枝によって手や足が劇中においては表現されている。そのデザインはファンタジー小説『指輪物語』に登場するエントを縮小したような雰囲気だ。しかしサイズはエントと大きく異なり、かわいい手のひらサイズである。サンダーバードやオカミーがライオンやトラといった大型ペットならば、ボウトラックルとニフラーはハムスターのような小動物系ペットといえるだろう。
このモデルにおいてのボウトラックルは、非常に簡略化して再現されている。原作のような細かい枝や目はなく、見た目はただの棒切れである。レゴにおいて茶色いパーツでよく使われるただの枝パーツが採用されているのだ。ファンタビのストーリーやネタバレを知らずにこの枝を見た人は、魔法動物が拾ってきた枝か、そこらへんの木から落ちてきた枝をニュートが持っているだけと思うかもしれない。だがこれは紛れもなく棒切れだ、いやボウトラックルだ。ただの棒切れのように雑に扱うことはいけない。ボウトラックルがミニフィグの手から落ちたからといって力強くつまんだり、トランクの中に投げ入れるなどということはとつけむにゃーことなのだ。彼は生き物なので、やさしく取り扱ってあげよう。
レゴ(LEGO) ミニフィギュア「ハリー・ポッター」&「ファンタスティック・ビースト」 シリーズ60個入 71022
ティナ・ゴールドスタインのミニフィギュアと魔法動物サンダーバード。ティナのフルネームはポーペンティナ・エスター・ティナ・ゴールドスタインだ。誕生日は1901年8月19日(月曜日)で、日本の政治家である佐藤観次郎氏と同じ日に生まれた。アメリカ出身。彼女ももちろん魔法学校出身だが、ティナはニュートと違いホグワーツOBではない。あまり聞き慣れないかもしれないが、イルヴァーモーニー魔法魔術学校を出ている。実は世界にはホグワーツだけでなく、いくつかの魔法魔術学校が存在するのだ。ワガドゥーやカステロブルーショ、ダームストラング・・・。彼女はそれらの中から米マサチューセッツ州にあるイルヴァーモーニーに通っていたのである。
ミニフィグにおいては髪型や長めの眉毛、キュッとした口尻などを再現。ハリポタおよびファンタビシリーズのミニフィグは本人に似ていないものもあるが、このティナはよく特徴を捉えているといえるだろう。また、グレーのコートや白いブラウス、首に掛けられたロケットペンダント、黒いロングパンツなどもペイントされ、劇中の服装も完全再現している。その服装はとてもおしゃれで現代的だ。さぞかし高価な服を買っているのだろう・・・と思いきや、彼女の服は親の私物というから意外にも経済的だ。しかも彼女は父と母の両方から性別問わず服を取り入れており、男物まで着こなす彼女のコーディネート能力の高さもうかがえる。
ティナは手にティーポットと杖を持っている。ティーポットはホグワーツの大広間75954にも登場したティーポットに丸いパーツを加えることによって蓋を表現。ティーポットは魔法動物に水を直飲みさせたり、小屋の植物に水を与えるとき、はたまたファッションの一部としても使うかもしれない。だが一番の用途は魔法動物を捕まえることだ。
なお、ティナのヘッドパーツもリバーシブル仕様になっており、笑顔のA面からムッとしたような、大変遺憾というような表情のB面に変えられる。B面の表情はなんとなくサンダーバードの表情にも似ていて面白い。
サンダーバードは鷲(ワシ)をモチーフにした大型の鳥である。ティナの頭をかじっているのがそれだ。名前はフランク。サンダーバードは前述の通りとても大きな鳥で、顔の大きさだけでミニフィグの背丈くらいある。翼にいたっては片方の翼だけでもミニフィグの2倍の大きさだ。そのサイズと金色の華やかな翼からは主人公の風格が漂う。まさに“大きな”スター性を秘めている魔法動物なのだ。
また姿だけでなく、ギミックもスター級である。口は開閉し、翼は上下し、首や指、尻尾など多くの関節も可動するのだ。脚を広げて重心を落としたり、体を持ち上げて立ったり、3本の指で何かを掴んだり・・・豊富な可動部位を活かして、多彩なポージングが可能である。口がしっかり閉じてしまうため下顎が開きにくかったり、指が動きすぎて形を決めにくいなどといったデメリットもあるにはある。しかし可動部位が多いことによって置き物にならず、遊べる設計になっているのは嬉しい。
ジェイコブ・コワルスキーのミニフィギュアと魔法動物エルンペントとニフラー。ジェイコブはニュートの良き協力だ。彼はハリポタシリーズにおけるハグリッド的なポジションを担う。レゴにおいても大きな食堂が楽しい! レゴ ハリー・ポッター ホグワーツの大広間 75954をレビューのハグリッドと同じ傘の色違いを持っており、アイテムにも共通性がある。ポーランド出身。ジョイコブはこのモデルにおいて唯一の一般人およびパン屋だ。また唯一ヘアパーツが2つ用意されているキャラでもある。さらにリバーシブルヘッドまで備えていて、ジェイコブに対しての力の入りようは興味深い。彼をモブキャラ扱いせず、主要キャラクターの一人としてしっかりと表現したことは正しい判断だといえるだろう。
エルンペントはサイをモチーフにした魔法動物だ。頭数が少ないらしく絶滅危惧種ともいえる。エルンペントは劇中、ニュートのトランクから脱走するおちゃめな一面を持った魔法動物のひとり。性別はメス。レゴにおいては細かいパーツの組み合わせによって構成されていて、4本の脚を動かすこともできる。レゴ(LEGO) スーパー・ヒーローズ 鉱山で対決 76099においてもエルンペントに似たサイが登場するが、こちらのほうがパーツが細かい。
エルンペントの特徴的な大きな白い角には特殊なパーツが使用されていて、プニュプニュしている。硬いプラスチックではなく、柔らかい素材になっているのだ。これはおそらく硬く尖ったパーツだと危険性があるためだろう。だが、本来サイの武器になるはずの角が柔らかいということは、エルンペントの特徴を損なっているといえるかもしれない。なにせ本物のエルンペントの角は鉄をも貫く強度がある。
ただ、そのやわやわが逆に魅力にもなっていると捉えることも可能だ。プニュプニュしたパーツは感触でも楽しむことが出来る。また一見いかついエルンペントが、実は角が柔らかい・・・これはかなりかわいい特徴だ。ギャップ萌えだ。プニュプニュ角はサイの新たな魅力を引き出している。しかし・・・角がプニュプニュだからといってあまりプニプニしすぎないほうがいいかもしれない。なぜなら角には毒が含まれている設定だからだ。プニュプニュに魅せられているうちに、いつの間にか旅立ってしまったということがないようにしよう。
ニフラーはカモノハシをモチーフにしたモグラのような魔法生物。ジェイコブの左手に乗っているのがそれだ。模様が違うため赤ちゃんニフラーではないだろう。ファンタビにおいてはそのかわいらしい姿から高い人気を誇る。そのこともあってか、レゴにおいても造形には力が入っており、先述のボウトラックルとは違って精巧な作りだ。また、パーツによって構成されたサンダーバードやオカミーなどと異なり、ニフラーは動物フィグとして付属。ニフラーのフィグが付属するのは2018年のハリポタおよびファンタビシリーズにおいてこのモデルのみであり、希少なフィグである。
ニフラーの劇中の活躍としては、先述のエルンペントと同じくトランクから逃亡を図るおちゃめなメンバーのひとり。だがニュートに一番最初に捕獲された。レゴのニフラーにおいてもサイズが小さいため逃げがちな、いや無くしがちな存在であり、取り扱いには注意が必要である。ただ注意していてもいなくなるときはあるかもしれない。もしそのときは、光物で釣ってみよう。ニフラーはカラスのように光物が好きだというから、レゴのコインやトロフィーを餌に置いておけば捕まえられるかもしれない。
クイニー・ゴールドスタイン(レゴ社の表記ではクウィーニー・ゴールドスタイン)のミニフィギュアと魔法生物オカミー。クイニーは同じくゴールドスタインのティナの妹で開心術士。誕生日は1903年1月6日で、ライト兄弟が世界初の有人飛行を成功させた年に生まれた。先述のジェイコブと特に親しくしている。
ミニフィグにおいてはピンクのコートを着てスカーフを巻き、黒い杖を持つ。ヘッドパーツは両面仕様でA面は弾けた笑顔、B面は少し驚いた様子だ。そのメリハリの利いた表情の変化っぷりは、このモデルにおいて最も表情豊かな登場人物であることを示している。
オカミーは蛇をモチーフにした魔法動物。クイニーに巻きついているのがそれだ。オカミーもトランクから逃げた魔法動物のひとり。ヘビの胴体に2つの翼を持つ。水色の胴体とピンクの飾り羽の組み合わせはとてもカラフルだ。クジャクのように飾り羽を持つだけあって、派手さがある。オカミーの見事な飾り羽を見たものは、それが例え人間であっても一瞬にして惚れてしまうに違いない。
オカミーの顔の造形はサンダーバードと同じだ。顔の模様もサンダーバードと同じく凝っている。7つのユニットと7つのジョイントによって構成された胴体はあらゆる動きをとることも可能だ。体を真っ直ぐにしたり、上記写真のようにまさに蛇のようにくねくねと曲げる事だってできる。
トランクが飼育小屋に! 本格的な変形ギミックを搭載
ミニフィギュアの次は、いよいよこのモデル最大のギミックを搭載しているニュートのトランクをレビューしていく。まず、シールによって表現された“MUGGLE WORTHY”の文字や鍵穴があるパーツに鍵を挿し込んで解錠した気持ちになってから、ハンドルの両側にある金色のふたつの錠前をパチッと開けよう。
ロックを解除したら、トランクは開けられる状態になっている。フタの角を持ってさっそくトランクを開けてみよう。少しずつトランクの中とは思えないファンタジーな光景が広がってくるはずだ。
フタを開き切ったところ。フタは蝶番によってスムーズに開閉するようになっており、90度までしか開かないといった制限もなく最後まで開き切ることが可能だ。
大きなフタを開けたら、次は小さなフタを開けてみよう。このトランクには2つのフタがあって、先ほどの大きな片開きのフタと小さな両開きのフタが用意されている。両開きのフタを開ければ、もうひとつの部屋が現れるはずだ。
両開きのフタを開くと、黒い梯子がまず目に入る。これまで南海の海賊シリーズを中心に昔から多く登場してきた伝統の梯子だ。フタを開けた後にまずこの梯子を使えば、スムーズにトランクの底まで降られるだろう。
前述の梯子は片開きのフタのように動かすことが可能。はしごを持ち上げれば、中のスペースが使えるようになる。
梯子を取り除けたスペースはまるでトランクの中の小部屋ともいうべき空間になっており、いくつかのアイテムが配置されている。1体のミニフィグが座れるベンチやニュートの想い人であるリタ・レストレンジの写真、青と黄緑の魔法薬などだ。小さなスペースながらも家具や小道具が置かれた様子はまさに魔法使いのニュートの部屋としてふさわしい機能を備えているといえる。
小さな部屋を見終えたら、蓋を切妻屋根の形にセットしてデザイン性を高めてみよう。片開きのフタの片方には溝付きの出っ張りがあって、そこにもう片方のフタを重ねることにより平坦でなく三角に見える屋根を表現できるのだ。
屋根のセットが終わったら、トランクのさらなる変形ギミックを使ってみよう。そう、このトランクは開いたり小部屋が現れたりするだけではない。もう一段階の変形を残しているのだ。
ハンドル付近にあるクリップパーツからトランクを左右に展開していけば・・・トランクの横幅は変形する前と比較して倍以上に広がる。その光景はさながら大飼育小屋だ。
展開したトランクの右側は自然にあふれた作りになっている。隅からは暴れ柳の動きがすごい! レゴ ハリー・ポッター 空飛ぶフォード・アングリア 75953をレビューにおいて暴れ柳にも使用されていた枝パーツが生え、床には大きさや色が様々な石が敷かれている。この枝や葉っぱや石は小屋を自然に近い環境にすることに貢献していて、ニュートが魔法動物ファーストの環境作りに熱心であると示すものだ。魔法動物たちはこのトランクの中で生息していても野生の時の状態とあまり変わらない、違和感のないトランクライフが送れるだろう。
また、自然の手前のほうには茶色いバケツと白たまごがある。バケツに水を入れておけば、魔法動物たちが自ら水分補給してくれるはずだ。魔法動物たちを脱水させないためにも、バケツの水は絶やさないように注ぎ足しておこう。
バケツの隣にある卵はオカミーが産んだものである。魔法動物のエサとして置かれたゆで卵ではない。いつ産んだかさだかではないが、殻のきれいな色合いを見るに産まれたて、もしくは数日以内に産まれたものだろう。最低でも3日以内には光臨しているはずだ。その卵はとても大きく、ニワトリの卵とは比べ物にならないほどのサイズである。見た感じミニフィグの胴の長さくらいはあり、卵の時点で既にニフラーよりも大きい。だが、それも無理のないことだ。この卵の親であるオカミーは大人になると体長最大5メートルになる。それほど大型の魔法動物が産む卵はこれくらいのサイズになるだろう。
卵パーツはレゴにおいてまだ登場機会が少なく、珍しいアクセサリーパーツだ。おそらくニュートはその希少性や倫理面を考えると食用にするつもりはないだろう。このタマゴで卵かけご飯や目玉焼きを作ったり、高値で売ったりすることなど微塵も考えてはいないはずだ。確かにオカミーの純銀の卵は鮮度が抜群でサイズもある。味や量も期待できるかもしれない。しかしニュートはオカミーの卵を観察し、最後まで見守るつもりだ。
なお、その卵は植物質な巣材によって巣作りされた巣の上に乗っている。この巣パーツも目新しいもので、他のモデルではほとんど見かけることがない。付属している希少なモデルとしては、同じくハリポタシリーズのトイザらス ブロックトーバー 2018に登場する、帽子を被ってフサフサを首に巻いたセブルス・スネイプ先生のミニフィギュアくらいだ。ただ、付属するパーツは同じでも、使われ方は大きく異なっている。今回はミニフィグの装備ではなく、巣にするという面白い使い方がされているのだ。この巣パーツはクリスマスリースのように中央がくりぬかれており、ミニフィグの首に挟むこともできれば別のパーツを入れ込むことだって出来る。今回はその形状を活かして、産座に見立てたくりぬきの上に卵を乗せているわけだ。このレゴらしい発想によって巣と卵の本格的なセットが誕生したのである。
先ほどの反対側、トランクの左側には蛇口や小さな山、ブラシ、包丁などがある。少し花は咲いているものの、右側と比較すると土気色が多く、みずみずしさは薄い区画だ。おそらく右側の区画とは役割が違うのだろう。こちらは魔法動物たちを遊ばせるというよりも、どちらかというと作業場的な意味合いが強いようだ。蛇口からバケツに水を汲んだり、調理道具やケア用品を設置したり・・・左側には人間が効率的に作業が出来るような環境が整っている。
ティナが水を汲んでいるところ。蛇口は金色で高級感があり、複雑な形状をしている。この蛇口も卵や巣のように珍しいパーツのひとつであるといえるだろう。こんな煌びやかな蛇口があれば、高級なホテルに泊まったり豪邸に住んでいるようなちょっとセレブな気持ちになってテンションも上がりそうだ。蛇口の下には角型のシンクもあるから、そこにバケツを置けば水を入れやすし腕に負担がかからなくていい。インテリアと実用性を兼ね備えた素晴らしい水回りだ。
一方の壁には刃物と黄色いブラシがクリップパーツに取り付けられている。刃物は刃の部分が大きく、これもまたそれほど見かけることのないアクセサリーパーツだ。形状から判断するとおそらく菜切か中華包丁だろう。野菜を刻んで魔法動物の餌を用意する作業が多そうだから、どちらかといえば菜切が濃厚だ。ただ、殺伐とした目的に使うのならば・・・中華包丁のほうがいいかもしれない。中華包丁にはホラー映画で使えば怖さが倍増すること請け合いの迫力がある。見た目のデカさ、刃の鋭さ、切れ味などホラーに必要な要素が揃っている。しかし・・・この飼育小屋は墓場ではない。今日は13日の金曜日でもないし、このトランクの中はエルム街でもないのだ。この魔法のトランクにはジェイソンやフレディなどやってはこれないだろう。
ブラシは魔法動物の体をケアするために使う。フケやゴミを取り除いたり、摩擦によって血行を良くしたり、毛並みを整えたり・・・このブラシひとつで多くのケアが行えるのだ。ブラシによるケアは魔法動物の病気を予防したり、健康を促進したり、コミュニケーションを図るツールとして重要な役割を果たす。また例えばオカミーの餌を1kgほどつまみ食いしてしまいオカミーの機嫌を損ねたとしても、ブラッシングによって毛並みを美しくしてあげれば機嫌を取ることができるかもしれない。最初はブラシさばきが難しいかもしれないが、魔法動物たちがリラックスできる技術をマスターすれば関係はより深まるだろう。
巣がフサフサ襟に!? サンダーバードの尻尾はフニュフニュ
飼育小屋の卵は親であるオカミーが監視の目を光らせている。無事に卵を孵し、我が子と対面するためだ。オカミーは卵を守るためならばあらゆる手段を使うだろう。どんなに信頼関係があったとしても、安易に近づけば攻撃されてしまう恐れはある。オカミーに無用な警戒心を抱かせないためにも、適度な距離感を保ちたい。
サンダーバードのしっぽには細く長く、そして柔らかいパーツが使用されている。サンダーバードの体をすばやく振れば、尻尾がしなってリアルな打撃を加えることもできるだろう。軽くフニュフニュして遊ぶのも楽しいかもしれない。でもあまり遊びすぎるとサンダーバードに嫌われてしまうので注意しよう。
先述の通り、卵の巣のパーツはミニフィグアクセサリーとして転用することが可能だ。オーラを出したいミニフィグがあれば取り付けてみよう。一気に迫力が増して効果覿面のはずだ。
レゴ ファンタスティック・ビースト ニュートの魔法動物アドベンチャーの総評
今回5体の魔法動物が登場しており、その内の3体は劇中においてニュートのトランクから逃げ出したメンバーだ。ニュートのトランクからいなくなった魔法動物は全部で6体いるから、このモデルにおいては逃げた魔法動物の半数が登場していることになる。そんな魔法動物たちは鮮やかな色だったり、たくさん動かせたり、かわいかったり・・・とても個性豊かなメンバーだ。このモデルで彼らをニュートとともに微笑ましく日常を過ごす友人としたり、はたまたトラブルを引き起こすおちゃめな存在としたり・・・魔法動物たちがいれば様々なストーリーが生まれるだろう。
ニュートのトランクに関してはまさに夢が詰まったようなアイテムである。なんといっても超変形ギミックを備え、まるで本当にトランクを開けるような手順で変形していく様子はワクワクせずにいられない。茶色しかなかったトランクからは想像できない小屋になってしまうのだから。そしてトランクが飼育小屋に変形完了したあともまた魅力的である。トランクの中には立派な設備が整っており、魔法動物が卵を産んだり、水を飲んだり、小さな山で運動したり、毛並みを手入れしたり、本当に様々なことが行えるのだ。数少ない変形モデルとしての価値も非常に高いが、まさにいろいろなシーンを作って遊べる実用性も備えている。
ミニフィギュアにおいてはファンタビシリーズの主人公とヒロインが揃って付属しており、レゴファンにとっても原作ファンにとってもコレクション性が高い。また、ティナとクイニーがともに付属することにより姉妹の掛け合いも楽しめる。さらにクイニーと両想いのジェイコブも付属することによって、もうひとつの人間模様も演出することが可能だ。クイニーが紡ぐストーリー・・・クイニーが複数の登場人物と関係性があることがこのモデルを興味深く、そしてより面白くしている。魔法動物や変形するトランクなど見所満載だが、このような充実した相関関係も魅力を高めている大きな一因だといえるだろう。
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